われもこう 

学名  Sanguisorba officinalis
日本名  ワレモコウ
科名(日本名)  バラ科
  日本語別名  ウマズイカ・スイカグサ
漢名  地楡(チユ, dìyú)
科名(漢名)  薔薇(ショウビ, qiángwēi)科
  漢語別名  黃瓜香(コウカコウ,huangguaxiang)、玉札、玉豉(ギョクシ,yuchi)、酸赭、野升麻、紅繡毬、土兒紅、一枝箭、紫朶苗子、小紫草、馬猴棗、血箭草
英名  Garden burnet
2021/03/09 小平市玉川上水緑地

2008/07/24 長野県霧が峰

2011/08/15 長野県霧ヶ峰 (八島が原)

2008/09/11 入間市宮寺

2016/08/25 長野県霧ヶ峰 

 ワレモコウ属 Sanguisorba(地楡 dìyú 屬)には、北半球の温帯・亜寒帯に約15種がある。

  シロバナトウウチソウ S. albiflora
  S. alpina(S.alashanica;高山地楡)
中央アジア・シベリア・甘粛・寧夏・新疆産 
  S. applanata(寛蕊地楡)
河北・山東・江蘇産 
  S. canadensis(白花地楡)
 北米東北部産 『中国本草図録』Ⅶ/3162
  S. diandra(疏花地楡)
ヒマラヤ・チベット産 
  S. filiformis (矮地楡・蟲蓮)
四川・雲南・チベット産 『全国中草葯匯編』下250-251 
         
『雲南の植物Ⅰ』138・『雲南の植物』128・『中国本草図録』Ⅴ/2151
  カライトソウ S. hakusanensis
  エゾトウウチソウ S. japonensis(S.hakusanensis var.japonensis)
        
北海道日高産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020) 
  ミヤマワレモコウ
(ウスイロワレモコウ・メワレモコウ) S. longifolia(S.officinalis
        var.longifolia;長葉地楡) 『中国本草図録』Ⅳ/1679
        
北海道南部・本州中部・朝鮮・臺灣・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・・華北・
        ・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・シベリア産
  オランダワレモコウ S. minor
  ナンブトウウチソウ S. obtusa
        
本州(早池峰山)・朝鮮(北部)産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020) 
  ワレモコウ S. officinalis (地楡)『中国雑草原色図鑑』96 
  タカネトウウチソウ S. stipulata(S.sitchensis;白花地楡) 『中国本草図録』Ⅲ/1195
  S. tenuifolia
    var. alba(S.parviflora;小白花地楡)
    チシマワレモコウ var. kurilensis(S.grandiflora;大花地楡)
    ナガボノワレモコウ var. tenuifolia(細葉地楡・垂穗粉花地楡)
         『中国本草図録』Ⅵ/2667『中国雑草原色図鑑』96
   
 バラ科 Rosaceae(薔薇 qiángwēi 科)については、バラ科を見よ。
 「和名ハ吾木香ノ意ト謂フ、元來木香(薔薇屬ノ木香に非ズ)ハきく科植物ニシテ舊ク之レニわれもかうノ名アリ其意ハ我れの木香ナルベシ、而シテ此名其後本品ニ移リシモノ乎或ハ昔時木香ヲ本品ト誤認セシ乎其消息頗ル明瞭ヲ缺ク」(『牧野日本植物図鑑』)。
 「臙脂色の小さいお團子の樣に集つた中の一つの小さい花を仔細に見ると、四つの花瓣が開いて恰も帽額
{もこう}の紋を見る樣なので割れ帽額と名づけられたものだとのこと」(田村剛・本田正次編『武蔵野』1941)
 その他幾つかの説について『日本国語大辞典 第二版』を参照。
 いずれにせよ、俗に吾亦紅・吾紅・吾木香・我木香・吾毛香・割木香などと書くのは、すべて当て字という。
 『本草和名』地楡に、「和名阿也女多牟、一名衣比須祢」と。
 『延喜式』地楡に、「ヱヒスクサ、アヤメタモ」と。
 『倭名類聚抄』地楡に、「和名阿夜女太無、一云衣比須禰」と。
  『大和本草』地楡に、「ワレモカウ也、・・・ノコキリ草ヲ地楡トスルハアヤマリ也」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「アヤメタム
和名鈔 ヱビスネ同上 シヒモノマクラ古歌 ノヅチ同上 ワレモカウ ダンゴイタダキ江州 ダンゴバナ勢州 ノコギリサウ ノカヘリ石州 キウリグサ日州 ボウズバナ和州 ノコギリグサ江州 テンビサウ紀州。花色赤キ故ニ名ヅク」と。また「ワレモカウニ同名多シ。麝草・蒼朮カルカヤニ似たル草 皆ワレモカウノ名アリ」と。
 岩崎灌園『本草圖譜』(1828)。
 漢名について、李時珍『本草綱目』(ca.1596)地楡(チユ, dìyú)の釈名に、「弘景曰く、〈其の葉は楡に似て長く、初めて生ずるや地に布く。故に名づく。其の花・子、紫黒色、豉の如し。故に又た玉豉と名づく〉と」と。
 属名は、ラテン語で sanguis(血)と sorbere(吸収する)による造語。根を止血薬として用いることから。
 漢土・シベリアからヨーロッパに至るユーラシア大陸のほか、日本・樺太に遺存的に分布。
 中国では、同属の次のものの根を地楡(チユ,dìyú)と呼び薬用にする(○印は正品)。『中薬志Ⅰ』pp.201-203 『全國中草藥匯編 上』pp.344-345

   Sanguisorba alpina(S.alashanica;高山地楡・阿拉善地楡)
  〇ワレモコウ S. officinalis (地楡)
   S. stipulata(S.sitchensis;大白花地楡)
   S. tenuifolia(細葉地楡)
     var. alba(S.parviflora;小葉白花地楡)
   

 また、S. filiformis(矮地楡・綫葉地楡)の根を蟲蓮と呼び薬用にする。
『全國中草藥匯編 上』pp.250-251  

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